「不動産業界で働くなら、まずは宅建(宅地建物取引士)」。
これは今も昔も変わらない常識です。
でも時代は変化し50代を迎え、長年この業界の浮き沈みを見てきたいま痛感しているのは、「宅建の知識だけで、これから先もお客様や会社から選ばれ続けるだろうか?」という思いです。
そんな中、私がおすすめしたいのが「賃貸不動産経営管理士(以下、賃貸管理士)」のダブルライセンスです。
2021年に国家資格化され、今や不動産業界で熱い視線を浴びているこの資格。
なぜ宅建を持つ人がさらにこれを狙うべきなのか、現役不動産会社で働く私の視点から、その「メリット」を本音でお伝えします。
賃貸経営不動産管理士は実務に直結する資格
まず、実務における最大のメリットは、2つの資格を掛け合わせることで「売買も管理もカバーできるようになる」という点です。
この2つの資格は、簡単に表現するなら
- 宅建=「攻め」の資格(取引を成立させる力)
- 賃貸管理士=「守り」の資格(信頼を維持し、資産を守る力)
宅建は、物件の売買や賃貸の契約を成立させる(仲介する)ための知識であり、いわば「点」のビジネスです。
一方で、契約が成立した瞬間から、オーナー様と入居者様の長いお付き合いが始まるのが不動産管理業。
こちらは、日々の暮らしと資産を守り続ける「線」のビジネスと言えます。

ここで活きるのが賃貸管理士の知識です。
家賃滞納への対応、相次ぐ設備トラブル、退去時の原状回復を巡るガイドライン、そして建物の老朽化対策……。
これらは宅建の勉強だけではカバーしきれない、極めて実務的な領域です。
「契約を取って終わり」の営業マンと、「その後の管理やトラブルまで見据えて提案ができる」プロフェッショナル。
もし、その両方の知識を兼ね備えた人がいたら、オーナーさんにとって、これほど心強いことはありません。
社内評価の向上と資格手当のダブル取り


綺麗事抜きに、会社員としての「待遇」面でも大きなメリットがあります。
2021年に施行された「賃貸住宅管理業法」により、一定規模以上の賃貸管理業者には、営業所ごとに「業務管理者」を配置することが義務付けられました。



この業務管理者になれる要件の筆頭が、まさに「賃貸不動産経営管理士」です。
つまり、会社側からすれば「法的な義務を果たすために、どうしても社内に一定数確保しなければならない人材」になったわけです。
現段階では、宅建を取得していれば、講習を受けることによりこの管理業務者となることができますが、いつこの制度が廃止されりかはわかりません。
また宅建の資格手当にプラスして、この賃管士にも資格手当を付ける会社が多いです。
私の周りでも、宅建に加えて賃貸管理士を取得したことで、以下のような変化が起きています。
- 社内での希少価値が上がり、重要なポスト(管理部門の責任者など)を任される
- 「宅建手当」にプラスして「賃貸管理士手当(月数千円〜2万円程度)」が支給され、毎月の固定給がアップする
特に50代のベテランが新しい国家資格をサクッと取得して実務に活かす姿は、経営陣からも非常に高く評価されるのではないでしょうか。
【50代の視点】定年後のセカンドキャリアの武器となる
50代を迎えると、嫌でも「定年後の働き方」が頭をよぎるようになります。
不動産の売買仲介は、どうしても体力とスピードが求められる「若者の市場」という側面があります。
ですが、賃貸管理というビジネスは「ストックビジネス(積み上げ型)」であり、何より「信頼関係」がモノを言う世界です。
50代って、若い世代には真似できないベテランならではの「安定感」がありますよね。
これまで培ってきた「トラブル対応力」や「人間力」があるからこそ、一筋縄ではいかない「管理・活用」の現場で、今めちゃくちゃ重宝されているわけです。
長年社会を生き抜いてきた50代ならではの包容力、丁寧なコミュニケーション能力は、賃貸オーナー様(高齢の方も多いです)に絶大な安心感を与えます。
ここに「賃貸管理の国家資格の専門知識」という裏付けが加われば未来の選択肢も広がります。
- 会社に残る:定年後も、管理のスペシャリストとして嘱託や顧問契約で活躍
- 独立する:小規模な賃貸管理事務所を立ち上げる
- 個人で活動:地元の資産家やオーナーの「不動産コンサルタント」になる
宅建×賃貸管理士のダブルライセンスがあれば、定年という枠を超えて、生涯現役で活躍し続けるための可能性を広げてくれます。
宅建保有者が「賃貸管理士」を狙うべき理由


ここまでメリットを語ってきましたが、「もう50代だし、また一から法律の勉強をするのはしんどい……」
と思う方もいるかもしれません。



でも安心してください。
宅建を持っているあなた、あるいは過去に宅建を一生懸命勉強したことのある方は、すでに合格への「大ブースト」がかかっています。
なぜなら、賃貸管理士の試験内容の約3〜4割は、宅建の試験範囲と重複しているからです。
- 民法(契約の基本、借主・貸主の義務など)
- 借地借家法(家主と借主の力関係、退去のルールなど)
- 法令上の制限(建築基準法など)
これらは宅建受験者にとってお馴染みの分野です。
新しい知識として覚える必要があるのは、「賃貸住宅管理業法」や「建物の設備・修繕に関する具体的な知識」「会計」など、より実務にフォーカスした部分だけ。
ゼロからスタートする受験生に比べれば、半分くらいの労力で合格ラインに到達できるはずです。


もう1歩だけ次のステージへ進もう
時代は変わり、不動産業界に求められる役割も「仲介」から「管理・活用」へとシフトしています。
50代からの資格勉強は、確かに若い頃のような暗記力には頼れないかもしれません。
でも、私たちには「実務経験を重ねてきた」強みがあります。
これまでの実務経験があるからこそ、50代の今が一番深くテキストを理解できるチャンスです。
気づいた時が、いつも人生で一番若い時。
蓄積したキャリアをさらに強力な武器に変えるため、今こそ新しい一歩を踏み出しませんか?

